なぜ、今、上天草市のうたですか。
日本人の暮らしの中には「うた」があった。美しい自然の一瞬に心が動いたとき、愛する人に想いを寄せるとき、田植えで心を合わせて働くとき・・・。しかし戦後、急速に失われ、唄い継がれていたものを古老にどうにか思い出してもらい、聞きとりながら記録として一冊に収めたのが「上天草のうた」です。
天草はキリシタン殉教の歴史と美しい自然に恵まれ、多くの方々が足を運びうたを読んでいます。そこには今と変わらぬ、人の喜怒哀楽が織り込んであり、上天草の魅力を再発見できるものです。歴史は古臭く、難しく、わからないものと思っている方も多いかもしれませんが、これをうたっていた先人たちが心豊かな暮らしを楽しんでいた様子が浮かびます。
ロマンある歴史、美しい自然そして人情味豊かな上天草で詠まれたうた、うた
上天草市はロマンある歴史と美しい自然に恵まれ、人情味の豊かな郷土です。古くから文人墨客も多数往来し、それらの歴史、自然、人情の機微を謳った「うた」を数多く残しています。また、郷土のヒーロー、天草四郎や森慈秀にまつわる「うた」も何編か探し出しました。これらの「うた」を集めていく過程で私たちの上天草には、古くは江戸、明治の頃からその道に勤しんだ先達がいたこと。厳格な学者の印象が強い竹添進一郎の漢詩が意外と情緒あふれるものだったこと。上天草病院の初代院長による医療への情熱を込めて作られた病院歌があることなど。
一方で、雨の少ない大矢野で農業を営む厳しさから生まれた雨乞い唄や土突き唄等の労働歌、わらべ唄、子守歌、さらには、町村合併して今は歌われなくなった、旧町歌、廃校になったり統合したりした学校の校歌等、今収集しておかなければ、散逸してしまう恐れのある「うた」にも気を配り集めてきました。これらの「うた」-歌・唄・詩・謡ーを一冊にまとめて公開することで郷土への愛着と誇りを高めていただく一助になればと思います。
また、小中高校のふるさと学習の教材として取り上げていただき、豊かな情操を育むお手伝いが出来れば幸甚です。
先人から次世代に記録として残すための「上天草市郷土史研修同好会」
「上天草市郷土史研修同好会」は、昭和51年2月15日に「大矢野町郷土史研修同好会」として発足し、平成23年4月から現在の名前に変更し現在に至っています。発足以来42年が経過し、現在会員数は66人です。若い人がなかなか入らないのが悩みです。
本会はすべて、会員の会費のみで運営され、上天草市の史料、史跡、民話その他貴重な先人の遺物等の散逸を防ぎ、これらを整備保持し、記録して次世代に残すことを目的としています。自分一人で歴史を調べることはできないが、こうして集まってみんなでやることで楽しく、詳しく調べられるのが魅力です。今回の「上天草のうた」は長年のテーマでありながらも、盛り上がらず、3年ほど動かなかったのが、やっとみんなで動き始めました。専門家でもいいなという本になればと思っています。
具体的な活動
- (1)大矢野城址の清掃奉仕(毎年1回、発足時から継続)
- (2)天草四郎供養祭(藍の村観光(株)主催)の協賛団体
- (3)本の出版として『大矢野家譜』(昭和58年刊行)、『碑』(平成7年刊行)、『太平洋戦争戦中戦後の証言と記録』(平成22年刊行)。
- (4)会員親睦を兼ねて、大矢野氏ゆかりの地への研修会などを実施しています。平成7年には大矢野種基(おおやのたねもと)が豊臣秀吉の命をうけて出兵した、文禄・慶長の役(朝鮮出兵)で命を落とした韓国への海外研修も行いました。
上天草市は「蒙古襲来絵詞」の大矢野氏、キリスト教布教の天草四郎の地
上天草には大矢野城址があります。これは鎌倉時代の元寇を描いた「蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)」に船に乗って活躍する大矢野三兄弟として紹介されたあの大矢野氏の居城跡でした。戦国時代末期の豊臣秀吉の時代まで存続したと伝えられています。その大矢野城址は、大矢野のまちが一望できる高台にあり、当時を君臨した大矢野氏の気分が味わえます。そこには大矢野氏の功績をたたえる表功碑、そして五輪の塔群からなる墓碑群があります。
発足以来40年以上、毎年草刈り奉仕を行っています。朝早くから、草刈り機の爆音を響かせて、広い城址をきれいに刈り上げていきます。開始前は草茫々だった城址がきれいに刈り上げられると、吹く風も爽やかに感じますが、気持ちも爽やかになります。そして、最後に五輪の塔の前で、大矢野氏に手を合わせます。因みに大矢野家は現在も続いていて、その子孫の方は本会の「顧問」を務めていただいています。大矢野氏があって大矢野町があるわけですから、大矢野城址は私たちが守っていかなければ、と考えています。
さて、次に紹介するのは、天草四郎です。天草四郎は、天草・島原の戦いを指導した若干16歳の少年です。上天草は、天草四郎がキリスト教を布教し、そして、島原へ渡っていった場所です。上天草市には、天草四郎の銅像が3体もあちこちに建立されています。どこにあるかは、本会へお尋ねいただくと、丁寧にお答えします。
本には労働歌から子守歌、詩歌、近代の市・町・学校の歌を
本の目次をご紹介します。
- 第1章 働く者のうた
- (1)田植えうた(2)雨乞いうた(3)土突きうた(4)盆踊りうた(5)潟切りうた(6)棒踊りうた(7)木挽きうた(8)上村部落巡り唄
- 第2章 子守歌・わらべうた
- (1)松島の子守うた(2)姫戸の子守うた(3)龍ヶ岳の子守うた
- 第3章 詩歌にうたわれた上天草
- (1)天草島めぐり長歌から(2)大矢野大庄屋吉田眉長の短歌と歌碑(3)竹添進一郎(井々)の漢詩(4)碑(いしぶみ)に残るうた ・・・・・(17)郷土のヒーロー天草四郎のうた
- 第4章 市の歌・町の歌
- (1)上天草のうた(2)市歌ができるまで(3)大矢野町の歌(4)松島町の歌(5)姫戸音頭(6)竜ヶ岳音頭
- 第5章 学校の歌
- (1)小学校の歌(新旧合わせて19校)(2)中学校の歌(新旧合わせて11校)(3)高校の歌(新旧合わせて4校)
『第1章 働く者のうた』から「大矢野の土搗歌」「田植え唄」をご紹介します。
働く者の歌は作業歌(労働歌)として上天草地方に歌い継がれてきたものを集めてみました。土突き唄は(地突き唄、地搗き唄、胴突き唄とも)など、家を建てる時、親類や近所の者が大勢集まって、音頭とりの唄に合わせて縄を引く時の作業歌である。真夏の太陽が照り付ける日など、時には音頭とりがアドリブで下ネタを織り交ぜると、ワッと笑い声が上がって、勢いづきます。時代が変わっても同じですね。
大矢野の土搗歌(牡丹長者口説)から冒頭部分をちょこっと紹介すると・・・
“エイト エイト 今日ちゃこの家の地がために 皆さんどなたもご苦労さん
ご苦労ついでに願います 願いどころは受声ばい 受声無かもんな見ておいて
たばこに時間に知らすばな 正月門には松が立つ 二月初午午が立つ 三月節句にゃひなじょ立つ
四月八日にゃ御釈迦立つ 五月五日にゃのぼり立つ 六月祇園にゃはたが立つ 七月七日ささが立つ
八月九月となりぬれば 北風どんと吹きゃほこり立つ 十月出雲にゃ神が立つ 霜月師走となったなら
どこの家にも同じこと 借金取りがかどに立つ 門に立たれちゃ腹が立つ
トコヨイヨイ ヨーイトニャ アラニャ コラニャー トコセー ハーヨー
今度大阪日輪長者 ヨイヨイ 五間半張り十八間の
サテヨイヨイ ヨーイトニャ アラニャ コラニャー トコセー”
以下、牡丹長者と言われる家の話が延々と続きます。 様々なエピソードがあり、バリエーションもあるので、話に釣り込まれるというような仕組みです。 続きは・・・本誌で。
そして、田植え唄をうたってくださったのは会員のお二人です。習ったきっかけは、歌のお師匠さんが地域の労働歌を掘り起こすことをしていたことだそうです。人によってテンポや節回しが違う、のびのびとした暮らしの歌です。
『第3章 詩歌にうたわれた上天草』から写真を抜粋
天草はキリシタン殉教の歴史と美しい自然に恵まれ、それらと共に人情の機微を多くの人々が記録に残してくれました。郷土出身の先達はもちろん、上天草を訪ねた文人墨客の作品を出来るだけ紹介しました。 写真は、その一部です。大矢野町出身の劇作家宮本研の歌碑に「わたしは海がすきだ 海はあかるい海がいい」と歌っています。昭和の流行歌を多数生んだ藤浦洸も上天草を訪ねています。新しくオープンしたゴルフ場の記念に「天草C.C.に贈る」として歌を残しました。
また、歌人与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌碑もあります。晶子の歌は「天草の松島ここに浮かぶなり 西海のいろむらさきにして」と歌っています。天草の名峰龍ヶ岳山頂には童謡で有名な野口雨情の歌碑が建てられています。「阿蘇や雲仙 霧島までも 龍ヶ岳からひとながめ」と山頂からの絶景を謳っています。その原本は上天草市の旧家に残されています。
これらの貴重な作品を、会員自ら写真撮影して本の中で紹介しています。でも、本物は是非皆さんで足を運んでみてはどうでしょうか。歌と旅はすばらいいものですよ。私たちの「上天草のうた」が一人でも多くの方に知っていただき、失われてゆく歴史の記録としていい本になるよう、会員一同頑張っています。どうぞ、お力添えくださいますようお願いいたします。
- 「上天草のうた」を冊子として後世に残す
- 上天草市の先達が残した「労働歌」や「わらべ唄」、著名人が謳った「詩歌句」や現在及び過去の「校歌」などを全部網羅し、一冊の本にまとめ出版いたします。上天草市には、与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌碑をはじめ、数多くの歌碑や句碑が現存していますが、本書では写真入りでご紹介しています。 平成27年の6月から編纂事業を開始し、本年度中に完成を目指しています。ご支援をよろしくお願いします。
- 【資金40万円の内訳】
- 下記の費用に充当させて頂きます。
・印刷製本費 1,512円×500冊=756,000円
・役務費 7,000円
・消耗品費 7,000円
・旅費 30,000円
ゆずり人へのお礼(支援者へのリターン)
- コース1(1,000円):
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お礼状
感謝の気持ちを込めてお礼状をお送りいたします。
- コース2(5,000円):
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「上天草のうた」1冊プレゼント
出版する「上天草のうた」1冊をお送りします。
- コース3(10,000円):
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「上天草のうた」1冊と上天草市産の海産物
出版する「上天草のうた」1冊と上天草市産の旬の海産物をお送りします。
- コース4(10,000円):
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「上天草のうた」1冊と上天草市産の農産物
出版する「上天草のうた」1冊と上天草市産の旬の農産物をお送りします。
- コース5(20,000円):
-
「上天草のうた」2冊と上天草市産の海産物・農産物
出版する「上天草のうた」2冊と上天草市産の旬の海産物・農産物をお送りします。
- コース6(50,000円):
-
「上天草のうた」5冊
出版する「上天草のうた」5冊をお送りします